シュンッ
焦って入った部屋には、当たり前だが誰もいない。
まだ少し時間がある。
早くはじまればいいのにと思いながら、とりあえずは、着替えを済ますこととした。
bolt
余計なことは考えたくもなかった。
人にかかわるのは苦手だった。
それ以上に、こんなわけのわからない気持は初めてだった。
なんなんだいったい・・・・・
そう思っているところに、誰かが入ってきた。
多分、アスランか、ニコル辺りだろうと思い、俺は気にも止めていなかった。
だから、かかった言葉と声に心底驚いた。
「イザーク、何で逃げるのさ!」
いつもよりどこか荒い言葉。
もうついたという事は、すぐに追って来たのだろう。
でも、何で?ときかれても・・・・
出せる返事はそこには無くて。
むしろ、こっちがほしいくらいで。
無意識の内に、半歩後退していた。
「イザーク」
だが、キラは容赦なく近づき息のかかるほど近くに身を寄せてきた。
「だから、何で逃げるの?」
「べ・・・・別に逃げてなど・・・・。」
しどろもどろになりながらも、とりあえず言葉を紡いだ。
逃げている自覚はないから、イザークはもっと混乱していた。
「・・・・イザ・・・・」
シュンッ
「でさー、そんとき」
「ラスティー」
「・・・・あ・・・・・えっと・・・・」
「ごめん二人とも、ちょっと取り込み中だから、外で待ってて?」
キラが何か言おうとした時、ラスティー・ニコルの両名が入ってきたのだが、
キラの殺気にも似たオーラを放つ笑顔に、また退出していった。
これがまた、アスランだった場合には、もっと違う混乱が起こっていたかもしれない。
「・・・・・」
「・・・・・」
何かを言い出そうとしていたキラも、二人の出現でタイミングを失っていた。
そして、イザークは、何もいえないのも・・・・まあ、仕方のないことだった。
もともと、人付き合いがひどく苦手なのダカラ・・・・。
そのため、必然的に沈黙が二人の間におりる。
壁に縫いとめられたように張り付くイザークは、だらだらと、冷や汗をかいていた。
その一方キラも、じっと動けずにイザークを見つめるばかりだった。
「・・・ねえ、さっきのこと、怒ってるの?」
「?」
「だ〜か〜ら〜、キスしたこと。」
「え・・・・あ・・・・!!」
今更ながらに、キラとキスをしたことを認識し、頭に血が上ってゆく。
そして、今更ながらに気付く。
別に嫌ではなかったと。
「そ・・・・」
「そ?」
「それは・・・」
「それは?」
イザークは、ただただ赤い顔で俯くが、キラの方が背が低いのだ、あまり顔は隠れていない。
「・・・じゃあ、もっかいしていい?って聞いたらどうするのさ」
「え、う・・・・」
どう答えたら良い物か、困り果てて、言葉が出せない。
そして、ふと一つのことに気が付いた。
キラがどう思っているか、俺は知らない・・・・。
今更と言えば、今更。
かなり鈍いことは否めない。
「キ・・・キラは、どうして・・・・」
何とか紡いだ言葉は、それしか出なくて。
でも、キラには伝わっていた。
「どうしてって・・・・はぁ、イザークって、鈍いの?」
「な!!」
「普通、男にしかも友達に、可愛いって言わないと思うけど?」
そう言って、小首をかしげる様子の方が、
よほどかわいらしいものがあるのだが、何も言わない。
「まあ、いいか。イザークがそう聞いてくれることなんてないと思うしね。」
一種自己完結して、キラは更にイザ―クに詰め寄った。
「イザークの事好きだよ。誰よりも大好き。」
イザークは?そうキラは促す。
「・・・・ス・・・・スキだ・・・・・」
小さくなる語尾に、だがしかし、ほとんど密着状態で聞いていたため、キラにはしっかり届いていた。
言葉が終わるか終わらないかに、イザークは、キラからまた、触れるだけのキスをされた。
「嬉しい。大好きだよ、イザーク。」
「で、結局なんで逃げたの?」
「・・・・・・・・・・・・から・・・・・・」
「え???」
「お前が、すごく幸せそうに笑ったから・・・・。」
「・・・・はあ?幸せそうにって、ええ??」
「いや、だから・・・。」
「ぷっ・・・も、もしかして、イザークは僕の友達に嫉妬してくれたのかな?」
「しっ・・・!!」
「あはははは」
「するか!そんな物!!」
「あはははははは」
「わらうなー!!」
キラはこの上なく幸せに笑った。
ねえ、イザーク。あの時笑ったのは、
君が僕のために、力を貸してくれるって言ってくれてからなんだけど?
その一言は伝えないままに、胸中で呟いた。
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初!!キライザ☆
本当は、後輩に送った長編の多分、Vol、9あたり??のを、
意味もなくキラ攻めでやってみたもの。
でも、段々と初めの想定とは違う物となりました。
これだけで話がわかるようにと、少し頑張りました。